文部科学省課題解決型高度医療人材養成プログラム

NGSDプロジェクトは、平成30年3月31日をもちまして終了致しました。

代表ご挨拶

福嶋 義光

事業統括 福嶋 義光

(信州大学医学部 特任教授)

副事業統括 古庄 知己

(信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター 准教授)

次世代スーパードクターの育成を目指して

難治性疾患は、「症例数が少なく、原因不明で、治療方法が確立しておらず、生活面への長期にわたる支障がある疾患」と定義され、少なくともその70%は遺伝性疾患であると考えられています。
さらに近年のヒトゲノム解析研究の進展により、3,000種類以上の疾患において遺伝子レベルでの確定診断が可能となっており、遺伝子情報に基づく個別化医療が開発されてきていることから、適切な治療・ケアに結びつけられる疾患が増加しています。

難治性疾患を持つ患者様やご家族を医療的な側面、心理社会的な側面を含めて包括的にサポートしていくには、以下の能力を持った難治性疾患を総合的にマネジメントできる医師を養成することが必要です。

  1. ゲノム医療の実践能力(遺伝学的検査を適切に実施し、その結果解釈を正確に行い、診療にいかす)
  2. 縦断的医療を推進する能力(小児期から成人期にわたり見守る)
  3. 臓器横断的診療に対応できる能力(様々な診療科・部門と協力し、コーデイネートする)
  4. 心理社会的支援を行う能力(遺伝カウンセリングを実践する)

従来の医師養成においては、臓器別専門医の育成が中心でした。したがって、小児期から成人期にわたり、多臓器にまたがる障害を伴うことが多く、また未発症のご家族への発症前からの対応も含む難治性疾患の総合的マネジメントを実践できる医師を養成することは困難でした。

難治性疾患対策の基本は正しい診断をつけることです。難治性疾患の多くが遺伝性疾患であることを考えると、遺伝子レベルでの確定診断を行うことがきわめて重要です。近年の次世代シークエンスの登場と急速な発展に加え、多数の疾患の遺伝学的検査が保険収載化されたことにより、我が国においても遺伝子解析が通常診療として動き始めていますが、この技術を患者様およびご家族のために適切に運用できる医師の養成のあり方は十分とはいえません。本プログラムは、こうした遺伝学的検査に代表される、遺伝子情報に基づく難治性疾患への個別化医療を学ぶのに最適なものであると自負しています。充実したon the job trainingにより、ヒトゲノム解析研究の成果をいち早く医療に応用できる人材を養成していきます。

本プログラムでは、今まで全国遺伝子医療部門連絡会議で培われてきた連携を基本に、各連携大学で行われている特色ある遺伝子医療の実践の場を全国公募により採用した基本領域の専門医資格を有する医師に提供することにより、多様で幅の広い難治性疾患で必要な能力を有する医師をon the job トレーニングを通じて養成します。

これらの能力は、知識レベル、技術レベルだけではなく態度レベルの能力が求められていることから、指導医の指導下で実際に遺伝医療を実践することでのみ養うことができます。連携6大学には遺伝子医療部門があり、それぞれ特色のある臨床遺伝医療を実践しています

本事業を通じて養成した「スーパードクター」の皆様が、我が国における次世代の難治性疾患医療を担い、大きく発展させることを期待しています。

平成29年6月 吉日

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